躾について

奴隷の躾について考える。
「躾」の字は体を美しくすると書く。よく躾けられた人は古来、美しいと思われていたのだろう。文字自体がエロティックだよね。

よく躾けられた奴隷というのはどういう人を指すか。
振る舞いの上でご主人様の決めたルールや作法を守る人だ。例えば以下のような。
・きちんと調教開始のご挨拶をする。
・お仕置きを受け終わった後、ご主人様にお仕置きのお礼を述べる。
・ご主人様に会うときは必ずえっちな下着をつける。

だが、ルールを守るためには、次に取る行動がルールに合っているかを考え、それに応じて行動を変える必要がある。

ルールに沿った行動を取るというのは意識的判断の結果なのであり、それに先立つのがルールへの意識である。
「これはご主人様のルールに合っている?」という意識。
これを常に持つようになることが躾けということだ。

権力者であるご主人様が常に見ており、チェックされているかのよう。
ミシェル・フーコーはこれを「監視の目の内在化」と呼び、極めて効率的であると考えられた、パノプティコンの監獄で説明している。(*1)
バウムクーヘンのような円筒型の監獄(各部屋は独房で、囚人が収容されている)がある。円筒の中央に看守の居る塔があり、そこから看守は全囚人を監視できる。囚人側からは塔の内部が見えず、いつ監視されているかが分からない非対称の構造になっている。
パノプティコン
このような状況に囚人を置くことで、囚人はいつでも看守に監視されているように感じ、監獄のルールを遵守するようになる。ルールを内面に刻みこんだわけだ。看守が言わなくてもルールに従う。極めて効率的に管理されることは容易に理解できるだろう。

奴隷の躾けの目指すところも同じ。ご主人様が言わなくてもきちんと作法を守る奴隷。よく躾けられた奴隷と言えるだろう。

躾けの方法はシンプルだ。体罰と暴力。
丁寧に諭すなんて学校でやればいい。つらさを体に刻んで覚えさせるという、暴力とエロスの世界を楽しもう。

最初のルールは教えてやらないとしょうがない。
「ご主人様の命令に従えなかったら、お仕置きだよ。わかった?」

次に、ルール違反をしたら気づかせていじめてやる。
「いま、命令に逆らったよね。はい、お仕置き。」

そのうち自分から申告させるようになる。
「ご主人様の命令に逆らったらお仕置きって、何度も教えたよね。
きちんと反省できるよう、自分からお仕置きをお願いしなさい。早く。」

プレイを重ねれば、お仕置きの内容もどんどん厳しくなるから、いやでも覚えられるようになる。

躾けられた奴隷は、常にご主人様に見られているように振る舞い、自らの行動を律するようになる。調教済み奴隷の完成だ。

ま、もうちょっと柔らかく言うとご主人様の色に染まるということだ。ご主人様との秘密の約束事だと思って、躾けられる被虐感を楽しんだらいい。

支配、ディシプリン、自己反省、調教済み。
こんな言葉にゾクゾクくるなら、きっと躾けが気にいると思うよ。



(*1) 監獄の誕生 ― 監視と処罰(新潮社)ミシェル・フーコー 

コメント

ピア

カイ様
カイ様はフランス哲学に造詣があるんですね。
ミッシェル・フーコーはゲイでSM好きだったようですが、
そういう人が、権力が従順な身体を作り上げていく過程を描いてみせたというのは、
必然なんでしょうか。

あちこちに連投して申し訳ありません。私の頭の中には大学で勉強したフェミニズム思想があるんですが、このようなSMサイトを見ると、胸がときめてしまうのです。
特に、よつんばいにさせられて(恥ずかしい姿にされて)、おしりをたたかれる場面を想像すると、それに憧れてしまう自分がいます。男性に服従させられることにも憧れています。

でも、鞭打ちなどは、とても痛いみたいで、実際にするのは怖いです。
私みたいに、憧れているけれど、痛いのは怖いという女性は多いと思うのですが、
カイ様は、そのような女性でも、調教する自信がありますか…?

カイ

Re: カイ様
ピア様
コメントありがとうございます。

大学でフェミニズムを学ばれたのですね。知識があることは、それをわざと「外す」ことも可能になるので、良いことだと思っています。例えばフェミニストの論理を理解した上で、それと対局にあるような男尊女卑や主従関係のプレイを考案できるでしょう。
囚われている呪縛が強いほど、規律を破る快感も大きくなります。「いけないことをしている自分」というのはSMに酔うためのいいスパイスです。

痛みも、性的快感や脳がチカチカするほどの恥ずかしさとともに与えられると、不思議と甘美な味わいに変わったりするものですし、叩かれた直後の真っ赤な、熱いお尻はほぼ性感帯と言えると思います。
「痛いのは怖い」というのは具体的にどういう怖さなのかを考えると、対処法も明確になるかと思います(「痛みに耐えられなくなるのが怖い(耐えられなくなった時に姿勢を崩して怒られたり、プレイをしらけさせるのが怖い)」「痕がつくのが怖い」など)

お尻叩きはSMプレイの中でもかなりリスクが低いものだと思っています。温泉に行くなどの予定がなければ、泣き叫ぶぐらい打たれるのもいいですよ。
手を後ろでしっかりと拘束されて、お尻を泣きながら叩かれるような妄想を体現できる場所はあまり多くはないでしょうから、秘密厳守ならやってみたい、という人も多いです。

調教する自信について、「本当に嫌なことを好きにさせる」というのは困難でしょうが、お尻叩きや服従に憧れがあるようなら、味わったことのない快楽を引き出すことはできると思っています。

もしご返信いただけるようでしたら、メール等にしていただけるとありがたいです。(私的返信が多くなりそうなので、コメント欄でやりとりするのはちょっとどうかと思いますので...)

kxspanking@ジーメール
"ジーメール"を、"gmail.com"に置き換えてください。

よろしくお願いします。
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